2005年と2019年、賃金構造はどのように変化したか

基礎知識

14年で男性正社員に大きな変化はなし、非正規格差は縮小せず

 次の図は2005年と2019年の賃金構造をグラフにしたものです。まず男性(上図)正社員の賃金は05年が348万円に対し19年が352万円と4万円の増加、勤続年数は05年が14.1年に対し14.2年と+0.1年と大きな変化は見られません。

 一方の非正規社員の勤続年数は05年が6年に対し19年は10.5年と4.5年も長くなっています。そして賃金は14万円増加(05年が221万円、19年が235万円)しているものの、正社員を100とした際の賃金格差の指数を見ると、19年は66.8(05年は64)と格差は大きいことが分かります。

正社員女性の賃金水準は上昇、ただし男性との格差は依然大きい

女性の場合正社員の賃金が30万円増(05年が239万円、19年が269万円)と男性と比べて大きく増加しています。勤続年数自体の変化は+0.7年(05年9.7年、19年が10.4年)と限定的ですから、正社員女性の賃金水準が上がってきていることが分かります。それでも、男性と比較すると83万円も少なく、男女間の賃金格差も大きいと言えます。

 一方、非正規社員の女性の勤続年数は+2.2年(5.5年から7.7年)と(男性ほどではありませんが)長期化しています。そして賃金は19万円増加していますが、(女性正社員の賃金が上がっていることから)賃金格差は70と(以前は70.2)ほとんど縮小していません。

以上をまとめると次のようになります。①男性正社員の勤続年数、賃金とともに大きな変化はない。②女性正社員の賃金水準は上がったものの、依然男性との格差は大きい③女性も男性も非正規社員の勤続年数は長期化している④女性も男性も非正規社員と正社員の格差は縮小していない。

つまり、日本では、非正規社員の状態が続く人が増加し、男―女間も非正規―正規の賃金格差も依然として大きいということです。