「非正規社員」の担い手がパート主婦から若者へ拡大
図は、日本における「正規-非正規格差是正」に関する法律の歴史の全体図です。このように全体図を見ると、時代の変化とともに法整備が進んできたことが分かります。
女性を中心としたパートタイム労働者の増加、という背景に応じて制定されたのが、1993年のパートタイム労働法(正式名称:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)です。しかし、この際のパートタイム労働者の担い手は、(あくまで一家の大黒柱である夫がいて)家計の補助をする主婦層やアルバイトが大半でした。そうした背景もあり、「同一労働同一賃金」の要素は盛り込まれませんでした。
その後、パートタイム労働者の担い手が就職難の若者などへ拡大、コスト削減のために正規・非正規社員への置き換えの流れが進みます。そこで、はじめて「同一労働同一賃金」の観点が盛り込まれたのが2007年のパートタイム労働法の改正です。
リーマンショックで「非正規社員」の問題が顕在化
さらにその直後に起こったのが2008年「リーマンショック」です。「派遣切り」が多発し「年越し派遣村」などが大きく取り上げられたことから、非正規社員の雇用問題が一般的に認知されるようになりました。
そこで2012年に労働法が改正され(2018年から2020年にかけて多くの裁判で争点となった)「期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止」(20条)が規定されます。さらに、2014年にはパートタイム労働法も改正され、不合理な待遇の相違の禁止や差別的な取り扱いの禁止などが盛り込まれました。
一方、日本全体を見ると少子高齢化が深刻化。多くの若者と経済成長で社会保険制度を支えるという前提が崩れるなか、安倍政権が「ニッポン一億総活躍プラン」を制定、その理念をもとに規定されたのが働き方改革法(「同一労働同一賃金」を促す法律)なのです。