旧労働契約法20条は「短時間・無期雇用」が対象外
働き方改革法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)において「同一労働同一賃金」とは、パートタイム・有期労働法と派遣法における、雇用形態による不合理な差別を禁止する部分です。
ここで(派遣法以外の)パートタイム・有期労働法の法改正の構成について見ていきます。今回の法律は、旧パートタイム労働法と旧労働契約法を組み合わせ、対象となる「非正規社員」のいわば取りこぼしを防ぐという意味があるのですが、その点がわかりづらいからです。
次の一番上のベン図を改めて見てみましょう。「フルタイムで無期雇用以外の労働者」以外には「短時間労働者(パートタイマー)」と「有期雇用」の労働者がいます。「期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止(均衡待遇)」する旧労働契約法20条が対象としているのは(左図)「期間の定めのある労働者」のみです。つまり、「短時間だけども無期雇用」の労働者は対象としていません。
無期雇用・フルタイム」以外の非正規社員を対象に
一方、右図は「通常の労働者と同一視すべき労働者の差別的取り扱いを禁止(均等待遇)」しているパートタイム労働法の対象です。この法律は「短時間労働者」を対象としていますので、「フルタイムの有期雇用」の労働者は対象としていません。
そこで、2018年に制定されたパートタイム・有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、フルタイムかつ無期雇用でない非正規労働者全般を対象とするに至ったのです。なお、今回のパートタイム・有期労働法は単に、旧法2つを合わせただけのものではなく、均等「待遇」のなかに基本給や賞与が含まれることが明示されたほか、14条で「待遇差に対する事業者の説明責任」が規定されるなど、その内容に補強がされています。さらに、通称「同一労働同一賃金ガイドライン」)が制定されたことは大きいでしょう。